実験生態系の摂動と継代による生態系の揺らぎ応答関係の解明
研究代表者 細田 一史(大阪大学)生物は内部にも外部にも複雑なネットワークを有する階層構造の中に存在し、生物の進化はこの内部構造による制約と、外部生態系での選択圧の両面に制限される。よって進化の理解には階層をまたぐ必要があり、異なる階層を同じ理論で記述できれば大きく前進する。生物の階層において内部構造制約を表現する「揺らぎ応答理論」があるが、原理的には生態系においても、短期的な揺らぎと長期的な変化には同様の関係がありえる。
本研究では、揺らぎ応答理論が生態系レベルにも適用可能かを実験的に明らかにする。これまで、実験生態系の自発的な変化について揺らぎ応答関係を調べたが、明示的な関係は観察されなかった。そこで本研究では、より能動的な摂動実験と進化実験により、揺らぎ応答関係を解明する。
もし揺らぎ応答理論が生態系レベルにも適用可能であり、その原理が解明されたらば、生物の上下の階層をまたぐ理論へと発展し、自然選択などを含む統合理論の構築が飛躍的に進歩するだろう。また人類の緊急課題である生態系変化の理解と予測も躍進するだろう。